夏への扉
この『夏への扉』は、学生時代に部活の後輩から貰ったもので、初読以来20年(ちなみにこの文庫、奥付を確認してみたら昭和59年版でした。昭和か。そして私の学生時代はもう20年も前なのかと改めて実感)、ずっと大切に保管して、ことあるごとに読み返している1冊です。
1957年に発表された作品ですから、とにかく描写が古くて、あちこち違和感を感じたりもしますが(1970年に冷凍睡眠装置が完成していたりします。冷凍睡眠なんて21世紀になっても実現してないし。)、こういうコテコテのオチがすごく好きなのです。
そして表紙にもなっている主人公の飼い猫が。この猫がいいんですよ。ボストンバッグの口から顔だけ出してジンジャーエールを飲むエピソードが好きで好きで。(本筋とは何の関係も無いのですけれども)
10代の時は「よくできたSFだ」と思い、20代前半の時は「最高のラブストーリーだ」と思ったものです。さて、今の年齢で読むとどんな気持ちになるのでしょう。楽しみです。
『10月はたそがれの国 』は、この中の一編「大鎌」をいきなり読み返したくなって引っ張り出しました。麦の穂を刈り続ける農夫の話。暗いです。こちらはお正月に読むにはまったくふさわしくない怪奇系ですので、年末のうちに読んでしまわねば。
夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))
福島 正実
現在は表紙デザインが変わっています。活字も大きくなって読みやすそう。古い本は保存用にして、「読み直し用」に新版をもう1冊買おうかな…
10月はたそがれの国 (創元SF文庫)
宇野 利泰
こちらもまだ現役。