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甘苦いミステリー

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年始から、図書館でやみくもに本を借りては読み漁ってきたところ、思いがけず新たなお気に入り作家さんを発見することができました。米澤穂信氏。近年、「このミステリーがすごい!」に必ずランクインされているなと思いつつ、これまではなんとなく手を伸ばさずにいたのですが、「小市民シリーズ」と呼ばれる文庫の表紙がとても可愛らしかったので手に取ってみたところ、見事にはまりました。
このシリーズ、表紙だけでなくタイトルも良いのです。「いちごタルト」に「トロピカルパフェ」に「栗きんとん」。そして登場人物たちも、なんとも良い味を出しています。
軽いタッチのミステリーですので、気負いなく読めるのも良いところ。ちょっとした空き時間に軽く読める小説は無いものかとお探しの方、お薦めです。

 春期限定いちごタルト事件 米澤穂信(創元推理文庫)
「小市民シリーズ」、そして「美味しそうなスイーツのタイトルがついたシリーズ」の第1弾。
どうということはない小さな謎を解決する短編連作の中に、実は少しずつ伏線が潜んでいて、ラストのエピソードにつながる、というストーリー展開です。
理屈っぽい少年のちょっと小生意気な台詞回しが好ましいと思えたら絶対に楽しめるはず。(この少年のスタイルが気に入らないというレビューもよく見かけるので、好き嫌いが分かれるところなのかと)
私はこの小生意気な小鳩常悟朗少年と、得体の知れない小山内さんという少女のキャラクターが大好きです。
 
 夏期限定トロピカルパフェ事件 米澤穂信(創元推理文庫)
「小市民シリーズ」第2弾。冒頭の「シャルロットだけは僕のもの」が非常に可愛らしいストーリーでした。
こちらも短編の中に伏線が散りばめられており、ラストで一気に収束します。「春期限定」よりやや重厚な展開。
ストーリー上、重要なキーワードとなる「小山内スイーツコレクション・夏」のラインナップに、ストーリーとはまるで関係無くクラクラしました。

  
そしてシリーズは第3弾の「秋期限定栗きんとん事件」へ。こちらは上下巻。昨年の「このミス」の10位にランクインした作品です。
…が、実は私、これはまだ未読なのです。図書館で予約しているのですが、人気のようでなかなか順番が回ってこず。小市民を目指す2人のその後が激しく気になるのに。ああ。
そんなに気になるなら買えよ、とも思うのですが、上下2冊だしなあとか、これを買うならいっそのこと春・夏も揃えたいよなあ、そのうち「冬期限定」も出るだろうしとか、いらんことを考えてしまってなかなか踏み切れず。

 氷菓 米澤穂信(角川文庫)
と言うわけで、「栗きんとん」待ちの間の中継ぎにと、同著者の別シリーズである「古典部シリーズ」の1巻目を読んでみました。こちらも高校生が小さな謎を解明していく連作ですので、雰囲気は良く似ています。やる気があるんだか無いんだかよくわからない少年少女達の、ちょっと皮肉な掛け合いがナイス。
古典部シリーズは既に4冊刊行されており、現在5作目が連載中とのこと。…いかん。こちらの続きも気になるじゃないか。

あ、米澤穂信と言えば、『儚い羊たちの祝宴』も、ものすごく面白かったです。
「どんでん返し」系のお話ばかり五編が収められた短編集(若干のホラー色あり)。いずれの作品もテンポが良く、さくさくと読めますので、まとまった読書時間がとれない方にもお薦め。

  
by honey_camera | 2010-02-09 12:52 | Nikon D40